撮影エピソード

八日目の蝉こぼれ話

映画『八日目の蝉』の希和子(永作博美)が不倫相手の子(薫)と逃げ込んだ、事情を抱えた女性だけが暮らす施設『エンジェルホーム』のシーンが、木造校舎の旧南中学校で行われました。ロケは10月上旬に数日間に渡り行われたが、ロケの時期に野菜を収穫できるよう学校の敷地内に本物の畑を耕し、準備は8月中旬から、地元の方にもご協力頂き行われました。自給自足している女性たちの施設を表現するため、美術さんによる作り物ではなく実際の畑を作り、ニワトリやヤギも現地で用意するなど細部にまで監督がこだわっていました。

また、ロケ支援で日本アカデミー最優秀作品賞を獲る作品に出会えた奇跡というか、素晴らしい作品に関わることができて、ほんとに幸運だなと思いました。最優秀録音賞を受賞した録音技師の藤本さんは、クランクアップ後にもう一度、富士見町南中学校のロケ現場に訪れ、南中学校の自然の音や床がきしむ音などを1日かけて録音していかれていました。8月から毎日畑に水やりをして下さった地元の方など、映画は本当に多くの方の見えない努力があって素晴らしい作品に仕上がるんだと実感しました。

白ゆき姫殺人事件こぼれ話

写真は『JR茅野駅』で美姫(井上真央)が急いで駅に向かうシーン。原作の設定が“長野”だったことや、真夏の撮影なので比較的涼しく、監督のイメージに合うロケ地が多かったことから、舞台が『茅野市』に決定。この作品は夜のシーンが多く、ほぼ毎日深夜や朝方までロケをしていました。ロケ期間中一度だけ、原作者の湊かなえさんも茅野市に訪れロケ現場を見学していました。主演の井上真央さんは、NHK朝ドラマ『おひさま』で安曇野市に、映画『八日目の蝉』でも富士見町にロケで訪れており「信州には縁がありますね。」と話していました。

聯合艦隊司令長官山本五十六こぼれ話

国定公園内である霧ヶ峰高原のグラインダー滑走場で撮影が行われました。
映画のラスト近く戦局が悪化してゆく中での重要なシーンの撮影。太平洋戦争時での「ラバウル飛行場」の設定で、航空基地の建物・実物大のゼロ戦・見張り塔などのセットを造り、撮影当日はエキストラも含めスタッフ約120人、これまでにない大規模なロケでした。
国定公園での異例の大規模ロケ。長野県の許可や、地域地権者、グラインダー協会など地元関係者の皆様からのご協力いただき撮影を終えることができました。成島監督は、映画『八日目の蝉』に続き、2度目の諏訪地方でのロケでした。

横道世之介こぼれ話

祥子(吉高由里子)の入院する病院に、世之介(高良健吾)が見舞いに訪れるシーンの撮影が行われました。約15名の地元エキストラの方にも、看護師や患者役などで出演して頂きました。 主人公、横道世之介役の高良健吾さんと、ヒロイン、与謝野祥子役の吉高由里子さんのお二人は2008年公開映画『蛇にピアス』以来5年ぶりの共演ということで、現場でも、とても仲がいいお二人でした。ストーリーが1980年代の設定で、どこか懐かしさを感じる岡谷塩嶺病院の建物と、この作品が重なる部分をきっと監督も感じたのでしょう。

永遠の0こぼれ話

鹿児島県にあった喜界島などの旧海軍飛行場の設定。零戦の不時着シーンや主人公(岡田准一さん)が零戦に乗り込むシーンなどを、霧ヶ峰グランダー場などで計5日間のロケが行われました。
実物大の零戦を2機、この映画の為に作り上げ、その零戦を現場の霧ヶ峰に持ち込み、スタッフも約80名にのぼるとても大掛かりなロケでした。こうした何十年先にも残るような作品に、霧ヶ峰の自然がスクリーンに映し出されることは本当に嬉しいことです。
山崎貴監督は映画『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズなどで有名ですが、実は松本市出身で「中学生の時、初めて映画を撮ったのが美ヶ原高原で、こうして信州の高原で撮影していると懐かしい気持ちになった。」と満足そうに振り返っていました。